相談事例のご紹介
既に賃借人が死亡しており、占有者が入れ替わっていた物件で建物の収去を行った事案
- 相談内容
- 相談者は、土地の所有者で、30年以上前に土地の賃貸借契約を締結し、その賃借人が土地上に建物を所有していましたが、約10年後に死亡してしまいました。
そのころから、この物件には、相談者の面識のない人たちが入れ替わり立ち替わり居住するようになりました。
当初は、誰かから賃料が振り込まれていたのですが、それも数年で止まりました。
古い木造の物件で、長い間全く補修されていなかったため、朽廃が著しく、近隣の住宅にも被害が及ぶおそれがあったことから、相談者は現在の占有者に善処をお願いしましたが、逆にその占有者から威圧を受けてしまいました。
相談者は、何とか占有者に物件を明渡してもらった上で、この物件を取り壊したいとして当事務所に来られました。
- 解決
- このような事案では、占有者及び所有者に対して、建物収去(又は退去)土地明渡請求の訴訟を提起し、判決を取得した上で、明渡しを求めるとともに建物を取り壊すことになります。
もっとも、本件では、占有者が入れ替わる可能性があると聞いていたことから、まずは占有移転禁止の仮処分を申し立てました(これにより、裁判中に占有者が変わっても、
当初の占有者を相手に強制執行を申し立てることができます。)。
その後、占有者と賃借人の相続人を相手に訴訟を提起しました。このケースでは、多数の相続人がいたことから、事情を十分に説明し、協力を得ることができたので、
一連の手続をスムーズに進めることができました。
判決後、本物件の占有者がいつの間にか変わっていましたが、最終的に強制執行により、近隣の住宅に影響を及ぼすこともなく、建物を解体することができました。